これも私がモタモタしていた関係で、ショート・ノティスになってしまいましたが、来週の土曜日、一橋大学で社会政策史研究会の準備会を開催します。これは5月27日(土)の私が大原社会政策研究会で報告することを告知したときに少し書いていたことの続きです。そのときのエントリはこちらです。

社会政策研究会準備会 第1回会合
議題:研究会の運営の仕方(活動内容、組織、今後の会場など)
日時:7月22日(土)15時~17時
場所:一橋大学東キャンパスマーキュリータワー5階 3509
http://hit-u.ac.jp/guide/campus/campus/index.html
図の右下にある37の建物です。

ざっくり言うと、私自身の問題意識は、社会政策学会の歴史部門の受け皿が労働史部会しかないので、それ以外の人たちが入れるようなそういう部会を始めましょうというところからスタートしました。ただ、それはあくまできっかけの、一つのプランに過ぎず、別に分科会ではなく、ただの研究会として運営していってもいいなと考えています。今回はこんなことがやりたい、というアイディアを集めて、議論しようという趣旨です。

個人的には、1)労働史研究者の間でもそれこそ10年以上前から二村先生なんかも社会史にした方がいいのではないかという意見があって、労働史の拡張という課題はずっと考えて来たテーマであったこと、2)酒井泰斗さんが運営されてきた研究会にいくつか参加したり、私の執筆の支援研究会を作っていただいたり、といったことが数年で積みあがってきたこと、3)大原社会政策研究会が4年目に入ってきてそこでの経験と人脈も積み重なって来たこと、といったところがそろったので、そろそろ行けるかなという感じがしてきたのです。

と言ってもですね、別に私がリードして、今すぐこういう研究会をやっていきたい、というのはあまりなくて、いくつかの要望をまず形にしていくところから積み上げていきたいなと考えています。そのためにも、まずみなさんにリクエストを言っていただかないと、そもそも始まらないというところがあります。言い方を換えれば、ストロング・スタイルではいかずに、どちらかというと、支援や互助を目指す感じで、今のところ考えています。

じゃあ、どういう人に来ていただきたいかというと、社会政策とか福祉国家とかに関心をもっていて研究をしている人、そして、このエントリその他、口コミでも話を聞いて、ちょっと関心を持った人です。なんでわざわざこういう広い言い方をするかというと、この前、ヨーロッパでもいいんですか、という質問を受けたりして「もちろん、どころかぜひに。というかそもそもなんで?ヨーロッパ、すごく重要じゃん」と心では思ったのですが、自分で気づかない私が言っていることで(日本をやっているとか)、なんらかの障壁が出来ているなら、そんなものはないよ、ということを伝えたいからなのです。

とくに、中堅やベテランの方も歓迎なんですが、大学院生やPDくらいの若手に来てほしいなと思います。なんでわざわざ、そんなことを書くかというと、研究を持続している中堅やベテランの人は、狭いサークルでしか話さないけれども、呼ばれたら顔を出すタイプと、わりと外とのつながりを気安く求めるタイプの人に分かれると思うのですが、前者はどうせ来ないし、後者は面白いと思ったら、予定が合えば来てくださると思うからです。若い人、とくに東大とか一橋とかもともと、気軽に外とのつながりを持ちやすい環境が周りにある人はあんまり心配していないのですが、なかなか気後れしてしまって私なんかが出て行ってもいいんだろうか、発言してもいいんだろうか、というような不安を持っている人、しかし、それでも研究したくて視野を広げたいし、力をつけたいと思っている人はぜひいらしてください。歓迎します。一緒に学んでいきましょう。

力不足というのは厄介なもので、究極的に言えば、どの研究者にもまだ自分には解けない問題(歴史でいえば史料的な制約、あるいは幅広い分野横断的な知識)というのがあるので、その限りでは誰もが力不足です。その一方で、人文社会、とくに歴史系では読んできた資料と研究の量で、相対的な力量の差が生じるのも厳としてあります。ありていに言ってしまえば、読んでいる量が少なくて実力が足りないと感じていても、(先ほど書いた通り、ずっとその思いからは逃れられないし、まじめに資料や研究を読み続けているならば、年を重ねている方が力があるのも当然ですから)そんなことはどうでもよいので、ただ勉強したいという思いだけを持ってきてくだされば、それで十分なのです。

あんまりいろんな人と議論したことがないなども心配ありません。習うより慣れろです。

一応、簡単な叩き台のペーパーを用意していくのと、人数が多くなったときには打ち上げのお店とかも準備しなければならないので、出席しようという方は私のメール(ryojikaneko@gmail.com)にご連絡いただけると助かります。どうぞよろしくお願いします。
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今週の土曜日、というか、明後日、大原社会政策研究会で報告します。今年度、計画中の研究所叢書に書く予定の原稿の準備報告です。

2017年5月27日(土) 15時20分〜
法政大学多摩キャンパス大原社会問題研究所会議室
金子良事「戦時期における人口政策、労働政策、国土計画の有機化」

チラシはこちらになります。

本当は準備を進めるべきで、こんなものを書いている時間はないのですが、やっぱり宣伝です。報告内容は社会保障人口問題研究所の館文庫の資料を使いつつ、大原にある協調会や旧労働科学研究所の資料を一部使って、お話しするつもりです。

ざっくり言うと、戦後の社会保障=福祉国家の前提が戦時期に出来ると考えて、その内実を探ってみようというものです。ここまでだと割と常識的なんですが、それを厚生省とかからだけで考えるのではなく、内務省とか企画院とかそういう大きい文脈で位置づけ直そうということです。特に、戦後の社会保障はある時期までケインズ的経済政策、政府がかかわる経済成長と一体ですから、経済政策とも関係します。ちょっと今までの研究は厚生省に批判的な、優生政策(批判)に偏っていた感じがあるので、それとは別の視点を打ち出します。

とはいえ、準備報告なので、先行研究とかは十分に読み込めていないので、その辺は課題です。今の時点では、御厨先生の『政策の総合と権力』『戦後をつくる』とか、日本経済史の戦時期研究、うちの諸先輩がやった協調会研究などが関わってくるなあと思っています。それから、国際的な大きな枠組みで言えば、Alison BashfordのGlobal Populationも関係あるし、そこからインテレクチュアル・ヒストリーつながりでは鈴木貞美『生命観の探求』とかも関係あるでしょう。

ここまでだったら、別にブログで宣伝する必要はまったくないのですが、研究会の前後にでも、社会政策、社会保障、福祉国家の歴史研究に関心がある方と、少し今後のことを相談したいなと思っています。

まだ具体的に書けないのですが、研究会よりも少しフォーマルな形を考えています。特に若い大学院生とか、歴史研究は冷遇されていたり、そもそも相談する相手がいないというようなことも少なくないと思います。そういうところをサポートできるような仕組みを作って、歴史研究を盛り立てていこうということです。ですから、敷居は本当にあげません。そういう関心をもっていらっしゃる方はぜひいらしてください。そういうことなので、出来れば飲み会までいらっしゃれるといろいろお話し出来そうです。飲み会は橋本です。

準備の都合があるので、私のアドレスまで所属とお名前を添えたメールを下さると助かります。アドレスはryojikaneko@gmail.comです。


いよいよ新年度が始まりますね。

2017年度の大原社会政策研究会の第一弾は、JILPTの客員研究員の高原正之さんにご報告いただきます。案内はここにあります。

時間:2017年4月21日(金) 15時20分~
場所:法政大学多摩キャンパスエッグドーム 会議室5階

今回はいつもと違って、高原さんが昨年のJIRRAで報告されて、そのあと、ペーパー化された「解雇規制は本当に日本の就業率を下げているのか?」(『日本労働研究雑誌』2017年特別号)を素材に議論したいと思っています。この研究会では、あまりこういうパターンはなかったんですが、高原さんから論文をいただいて、これをみんなで読んでみるというのもいいんじゃないか、ということで高原さんにお願いして今回の形になりました。議論の前には、高原さんから「解雇」についての簡単な解説をしてもらい、そのあと、論文についての議論をしたいと考えています。

この論文の主旨は、大竹文雄・奥平寛子の実証研究に対しての問題提起なんですが、お二人の研究は解雇無効判決変数と就業率の関係を分析し、労働者寄りの判決が出ているところでは就業率が下がるという結論になるというもので、これに対して、高原さんはデータの解釈の仕方が正しくないのではないかという問題提起をされ、簡単に言えば解雇法制が就業率にどのような影響を与えているのか以前、謎のままであると議論されています。

私は統計関係の研究会に出ないのでよくわかりませんが、本来だったら、この問題に対してのデータと変数の作り方、特にそのような問題についてアプローチするにはどのような方法があり得るのか(改善点等を含めて)などを議論するんでしょう。ただですね、この研究会は、統計学についての前提知識が共有されている研究会ではなく、もともと分野横断的に様々な若手研究者の交流の場にしようという問題意識で開いているので、当然、統計学そのものをよく知らない人も多いでしょう。だから、なぜ、こういうことを議論するのか、というような初歩的な、しかし、根本的な話から聞いてみたいというのも全然、ありです。というか、こういうところじゃないと、なかなか恥ずかしくて、そういう話、聞けないと思うんですよ。そういうのにぜひ利用してほしいです。

老婆心ながら、私自身も統計的な手法を使わないので偉そうなことは言えませんが、どんな分野でも統計学が入ってきているから、基本的なリテラシーとしてある程度は知っておいた方がいいよ、と言っておきたいですね。もう今はいないかもしれませんが、まだ私が大学院生だった頃は、統計的な手法を使うことにどんな意味があるのかといって毛嫌いする人が結構いました。でも、ロジカルに書くという意味では、統計的な実証論文に慣れ親しんでおくのは結構、よいことだと思います。というのも、歴史とか調査とかだと、事実の圧倒的なリアリティに頼って、しばしばロジックが飛んだり、あとは歴史だと、最後は論理で並べるのは難しいから時間で並べるかという誘惑にかられるときがありますからね(私だけ?)。時間順に並べると、なんとなく論理立っているように見えるんですよ、不思議なことに。

それから、高原さんはもともと労働省の統計情報部長をやられた方ですから、統計の実務面にも通じていらっしゃいます。高原さんはこの研究会が始まった頃からよく参加されていたので、最初の頃は飲み会で、官庁の統計を見せてほしいという話をしてもたらい回しにされるんだけれども、どうすればよいのかというような話題が議論になったりしていました。そういう意味では、直接、解雇と就業率だけに関心を持っていなくて、労働統計関係でいろいろ悩んでる若手院生の方もぜひ参加してください。

いつもは事務局の藤原、畠中、私の三人の誰にでも声をかけていただくだけでよいんですが、今回は、資料配布の関係もあって、参加される方は、私宛に所属とお名前を添えてメールしてください。私のアドレスは、ryojikaneko@gmail.comです。どうぞよろしくお願いします。

追記 ちなみに、奥平論文はここです。
NHK第一ラジオの夕方ホットトークという番組に出演することになりました。3回続く「賃金の研究」のラストということで、「年功賃金を歴史から考える」というお話をすることになります。

12月24日(水) 17:30~17:45
NHK第一ラジオ 夕方ホットトーク

政労使会議で安倍首相が年功賃金の見直しを示唆したことがこの問題のきっかけになっていると思います。第一回は私も聞けなかったのですが、今週の月曜日にありました。第2回は明日、日立の改革を取り上げるそうです。私も聞きたいと思っています。政労使会議の中の話を聞く限り、日立の改革は年功賃金の見直しという文脈じゃないようにも思いますが、実際にはどう説明するのか気になるところです。生ものだから、どうなるか分かりませんが、政労使会議ももう既に今年度分は終了してつい先日「取組み」も発表されたので、そのあたりのことも話の展開次第では出てくると思います。私も楽しみです。
この研究会は藤原千沙さんの発案で、同僚の畠中亨さんと三人で始めたものです。その趣旨は、院生などの若手研究者に発表の場を作って、大学を超えた交流を図るということにあります。私自身は、森先生の弟子として、研究は一人でやるものだということを叩き込まれていて、読書会などそのときは一生懸命やって後に残らない、というようなことを聞いて育って来たので、自分のキャリアの上であまりそういう必要は感じなかったのですが、仲間を作るということは思った以上に大事なことだと思ってやっています。

この夏から初めて既に半年近く経ったのですが、参加しているみんながこの研究会をとても大切に思ってくれていて、とてもよい研究会に育って来ていると感じています。雰囲気も居心地のよい感じなので、大学院生の皆さん、あるいは博士号を取ったばかりくらいの若手のみなさん、ぜひいらしてください。

第5回 大原社会政策研究会
金子良事「日本における企業別組合の起源」
12月3日(水)15:20〜17:20
法政大学多摩キャンパス エッグドーム5階、研修室1、2

私は完全にバッファーで、来年以降、春までは予定が決まっているのですが、12月はポンと空いてしまったので、その埋め草として報告します。

ただし、研究蓄積の薄い分野で研究している院生は、蓄積の深い分野を知りませんので、わりと丁寧に研究史をサーベイするつもりです。労働史の問題関心、方法がどのように変遷して行ったのか。今、どのようなことが問題なのか、といったことです。そういう意味ではレビューが20分くらいかな。

企業別組合の起源については、私の中ではほぼ決着がついています。というのも、一応「工場委員会から産業報国会へ」でおおまかな道筋は付いたなと思っています。

私の中で解き明かさなければならない問題は二つで、一つは「ブルーカラーとホワイトカラーの混合組合の起源はどこか」ということと、もう一つは「事業所別組合ではなく、企業別組合の起源はどこか」ということです。両方の問いは、すべて工場委員会制度に戻って行きます。ただ、あの論文は、私が分かったことを書いただけなので、ちょっと節間の関係なんかが十分に議論されていない嫌いがあります。そこで、その部分を少し丁寧に説明しようと考えています。

とはいえ、もう一つの研究報告とは違って、専門分野の研究ですので、労使関係史、労働史に関心のある方には面白い議論になると思います。また、現状に関心がある方は、研究会でも飲み会でもお話ししましょう。

そして何より、研究に関心があるんだけども、なかなか敷居が高くて、自分一人でやっているという方、ぜひ一緒に研究しましょう。広く門戸は開かれています。