FC2ブログ
POSSE31号、いただきました。いつもありがとうございます。

今回の特集は、同一労働同一賃金、各政党に意見を聞くというのが目玉です。これを読んでいると、与党である自民党と公明党を含め、大きく言っていることが違うという感じはありませんね。正直、民進党より自民党の方が安心して見られる感じがある。ここまで労働問題に理解を示すとなると、組合は本丸の労働運動で、自民党と戦うというのは言いにくくなる。かじ取りの難しいところでしょう。

次は、求人詐欺の問題。求人票の問題は、今野さんが「ブラック企業」を問題にした当初から指摘していて、それこそ固定残業代の話を書かれていたけれども、POSSEはここ最近、この問題に集中していますね。いろいろな座談会も面白いんだけれども、飯田泰之さんが寄稿しているのも面白いです。そして、この飯田さんが指摘している優良企業は規制してもらっても困らないし、むしろ、規制された方が得るところが大きい、というのは重要な視点です。工場法のころから言われている社会政策のクラシカルな話ですが。

教職員の部活問題もいいテーマですね。昨日、たまたま連合のホームページを見ていて、教育改革の提言を見つけました。内容的には、そんなにケチをつけるようなものでもない、というか、連合って銘打ってなければ、どこの誰が書いたか分からないような文書です。ここで引っかかったのは、提言6の「教職員のやりがい・働きがいを高める」というところで、詳しく中を見ていくと、ガバナンスの話なんですよ。しかも、これ全部、実現したら、労働強化になります。ステークホルダーを増やした民主主義というのはそういうものです。もっと、労働問題に絞って、たとえば、労働時間からアプローチしていくというのも一つの手です。そう考えていたところだったので、部活問題は面白い話題でした。ただ、これを簡単に一律規制すればいいのか、というと、そうでもないところが難しいですが。

今回は、ブラック企業、貧困の現場報告は、連載ですからありますけど、全体的には持続的な労使関係をどう構築していくのかというテーマになっています。POSSEが変わってきたのか、社会が変わってきたのか、いずれにせよ、大きい変化です(POSSEが変えた、という部分も大きくあります、もちろん)。数年前だったら、声をあげてもいいんだ!というところだったと思うのですが、声をあげて良くなった!という話がポツポツ出てきていて、こういうことの積み重ねが本当に希望になって行くんだと感じました。
スポンサーサイト



企業史料アーキビストの松崎裕子さんからエリザベス・シェパード,ジェフリー・ヨー『レコード・マネジメント・ハンドブック』日外アソシエーツをいただきました。ありがとうございます。本と一緒に送り状をいただくことはよくありますが、お手紙を別にいただくのはまれです。几帳面に書かれた宛名を見ながら、いかにも松崎さんの丁寧なお人柄が感じられるなあと思いました。

松崎さんのお手紙には、ハンドブックなので全部を読み通さないと理解できないという性格ではないが、訳者序文から第1章までは本書のエッセンスが述べられた部分なので、一読をお勧めしますという趣旨のことが書いてありました。訳者序文にはこの14年も前に出版され、電子的な環境その他が変わったにもかかわらず、この本を翻訳する意義として、原則を共有することが出来るという考えが述べられていました。これは非常に重要なことと思います。

実はこの本が出版されるのは、Facebookを通じて知っていましたが、あんまり手に取るつもりはありませんでした。それは私自身が出来ることが限られていると思っていたというのが第一、現にできることは粛々とやるしかないし、理想的な方法を知っても現実との落差が悲しいだけだと思っていたからです。ただ、実際に手に取ってみて、その考えを改めました。

この本はアーカイブズ関係者以外にも非常に有益であることを強調しておきたいと思います。まず、狭い範囲で言えば、社会科学系の研究者は得るところが大きいと思います。つまり、自分が使うデータとはどういう性格を持っているのか、ということを外形的な部分からの分析が述べられているからです。だから、データセッション的な研究会に関心がある向きにはお勧めだと言えましょう。

そして、何よりこの本は記録管理、アーカイブズ(文書)管理の本です。何らかの記録を体系だって整理するということは、組織である以上、どこでも生じうる必要であり、ということは、組織にかかわる人であれば、この本は実務的に得るところがあります。特に、「第2章レコード・マネジメントのコンテクストを分析する」が重要です。なぜか、文書を整理するためには、その文書がなぜ作成されたのかを理解しないといけません。そうであれば、その文書を作る組織に注目せざるを得ないのです。ですから、第2章は事実上の組織論です。というわけで、経営学、それから、社会学の古いシステム分析なんかに興味がある人にもお勧めできます。

言ってみれば、記録管理は組織の情報処理(あるいは管理)で、まさに組織の命脈です。もちろん、これがあれば、それだけで戦略を立てられるというようなものではありませんが、逆に言えば、使いこなせれば、すごい武器になりうるということです。私としては、企業もそうですが、政党、組合には特にこの本を読んで、組織戦略を考えるきっかけにしてほしいと思います。もちろん、全部を丁寧に読む必要はなくて、さらっと読み流せばいいんですが、実務をやっている人は現場の勘があるでしょうから、それでも響くところは響くはずですし、それで十分です。ただ、そういう刺激を与える本だと思います。

というわけで、おそらくはそんなに売れないだろうと思いますが、広くこの本をお勧めしたいと思います。

最後に、ファイリングは専門職です!と言っておきましょう。

13442168_1173755592681751_7468498201006616579_n.jpg