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龍井さんから夏に本をいただいていたのですが、年末に帰省するタイミングで、久しぶりにお会いする機会を作って、これを読んでみました。なんというか、一読して、これは龍井さんの卒業論文だなと思ったんですが、そう話したら笑っていました。とはいえ、この本を私より下の人が読むのは難しいでしょうね。

私のブログを読んでくださる人が今、どうなっているのか分かりませんが、とりあえず、昔のスタイルで読み手を考えないで、この本のポイントを書いていくと、

1.猪俣-高野実(-清水)-龍井ラインのルーツ探し(日本の左翼のライン)
2.運動方針はあらかじめ与えられるのではなく、状況のなかで考察し、定めていくという思考方法
3.ナショナルセンターの地域労働運動の再評価
4.2と3の結節点としての前衛

が大きなところかな、と思います。その上で、これは龍井さんとも議論しませんでしたが、猪俣がプラグマティズムとイリー、コモンズら制度学派の薫陶を受けていたことは2とも関連するだろうなと思います。個人的には、イリーの書く古風な英語は好きでした。この辺はそのうち、勉強したいですね。

1でいうと、私としてはこの本の続きとして、民同ー総評論、それから清水慎三論を読みたいなという話をしました。民同は冷戦体制もあるけど、世代交代的な意味もあるから、その辺も含めてですね。清水については短い論稿はあるんですが、鉄鋼労連について掘り下げた見解は知りたいです。

2に関連して、昨日、ひとしきり、労働相談の重要性の話をしていたんですが、これは私が眞保智子さんに頼まれて付き合っていた連合総研の「障害者と労働組合プロジェクト」で書いたテーマと重なっています。よかったら、報告書を読んでください。31ページから私の論稿です。

3、4の論点は微妙で、総同盟も最初は地域労働運動をベースにしていたし、鈴木文治から松岡、西尾に実権が移った1910年代後半にはもう学卒エリートではない、叩き上げの労働者指導になったという面もあります。そういう意味では、スタートも早かったけど、左翼運動よりも早く似ていることを経験している。ただ、1920年代後半から1930年代にかけてユニオンショップで、事業所別組合、企業別組合を作るラインも他方で出てきている。事実上、このラインが右として、左と対蹠的に念頭に置かれていると思うけれども、そこのところをどう考えてみるか、というのは、難しい。

なんで急に龍井さんの本を読みだしたりしたかというと、労使関係を考えざるを得ない局面に巻き込まれたからなんですが、龍井さんといろいろ話す中で、結局、労使関係とか民主主義とかは手間がかかるもので、効率化には向かないし、その面倒くささに労を惜しまない、ということが大事だよね、と改めて確認しました。


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