社会政策を考えるためには、前々からドイツ国家論から勉強しなおさないといけないと思っているのだが、今はその準備もないので、とりあえず、今日は備忘録メモ。

吉田耕太郎氏の論文二編をメモ。どちらも東京外語大の紀要。現職は阪大准教授。社会政策という言葉の創出者は言うまでもなくシュタインであり、日本に導入した金井延も彼に師事し、その概念を導入した。その限りにおいては社会政策は経済政策の一つであったが、社会改良思想も同時に輸入された。金井の議論にあっては二つの論理的な整合性は明らかではないけれども、とにかくこの二つが入ったことが重要。多分、その背景にあるシュタインの国家論、有機体論を理解する必要がある。そのためにはドイツ国家学、官房学がどのような意味を持っているか、改めて考察する必要がある。

吉田論文はその意味で非常に示唆的。ただし、私はまだ批判的に読みこなすことが出来ない。優れた論文ではないかと思うが、それは解読の結果ではなく、勘による判断という段階。このレベルから考えない福祉国家論は「上すべりにすべって」しまうだろう。

ちなみに、社会政策学会で全くの傍流だけれども、重要なのは一橋グループ。大道寺順一、山田高生、木村周市朗、高田一夫ら。どうでもいいが、成城大学のレポジトリはなぜ外部から読めないのか全くの謎。

ドイツ民衆啓蒙思想の社会的意義

官房学と社会改革の結びつき。啓蒙思想による媒介。道徳的善の追求、自然の完全性との結びつき、すなわち宗教的理解との親和性。*ドイツ神秘主義との関係は?

> この多様の一致のライプニッツ-ヴォルフ学派の形而上学に由来するものであった。だがこの理念は、啓蒙運動を単に形而上学的な意味で支えただけでなく、社会を理解するための一つの枠組みとしても機能していた。それがこの完全性理念の大きな特徴である(450-451)。

ガルヴェのスミス理解:共同財産(common stock)→交換の目的=人間能力→交換の場としての市場(ein gemeinshaftkucher Markt)。これは当時一般的に受け入れられた。*日本の心学思想との親和性はどうだろう?

> グートショミットがザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト三世に国家学を教授したことは既に触れたが、その基調をなした思想が「国に統合された個々の人、個々の家族の共通の善への追求」であり、少数の利益よりも大多数の利益を尊重することであった。なによりも国を君主の所有物とする思想が批判され、国家の富を君主の所有物ではなく人民の富とする新たな冨理解が君主に教授された(452)。

> ガルヴェの議論は政治に携わる者とそれ以外の一般民衆が明確に区別されたドイツ社会の問題、つまり一握りの指導者によって社会が良くも悪くもなるが、民衆だけではヨーロッパの列強と拮抗しえないドイツの現状を再認識から出発し、君主と民衆の双方をまとめあげ、同時に強大な君主権力の規制するために完全性理念の既判力を利用したものと言える。君主権力の制限を権力の分割ではなく道徳裁判官Sittenrichterによって実現しようとしたユスティの「プラトン共和国」もガルヴェと同様に完全性の規範力によって君主権力の制限を試みた策であったと言えるだろう。453

*自由=(君主)権力の制限というヨーロッパ的発想、ハイエクとの親和性。

> こうした一連の君主道徳はパターナリスティックな道徳論と通例説明されるが、こうした説明が不十分であることは明らかであろう。453

*明らかではあるが、以下の内容を理解してもらうのは困難かも?

> 十八世紀後半の一連の社会改革が完全性という理念によって支えられていたことが隠れてしまうからだ。君主の家父長的な性格は完全性の実現への配慮に由来していた。例えば宮廷の浪費のような完全性を妨げる行為は批判されたが、完全性の実現に配慮する限りで君主の存在は認められた。無知が完全性の妨げであるからこそ、知識の伝播は完全性の実現に寄与するものとして積極的に推進された。そして完全性の調和志向が極端な社会変革のブレーキになる。例えば経済活動も市民層の経済的な自立を支えるものではなく、まずもって完全性の実現の手段としての側面が強調されたのであり、そして何より多様を統一する秩序としての統治システムの構築が積極的に求められたのである。453-454

善き秩序:ポリツァイ概念史研究の可能性と課題

Thomas Simonの著作、Gute Policeyの書評論文。*日本の温情主義は明らかにドイツの家父長主義と違う。それを一緒くたに扱うのは実は大問題。当たり前だけど。ドイツ史研究でも日本人研究者は緻密なんだという平凡な感想が批判を読んで残った。

結論、ドイツ語を勉強しなきゃダメじゃん。

ちなみに、著者が参考にしたと書いた論文の著者である(分かりにくくてすまん)松本尚子さんのサイト。

参加型Online西洋法制史辞典

本格的に勉強するときにはお世話になろう。
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