大原で総評の資料整理をしていたら「民主教育をすすめるための資料集 第2集 教育臨調を考えるために」という資料が出てきた。タイトルを見て分かるとおり、中曽根臨調の教育改革に対する左派組合の反対闘争のための資料集である。第1集は新聞の切り抜き集である。この資料は大変面白く、これを読んで、中曽根・小泉ラインからの新自由主義という流れで現在の教育改革を捉える通俗的理解がまったくの誤りであることが分かった。この資料のターゲットは1971年の中教審の答申である。ここには既に教員の研修制の話も触れられている。そして、おそらくは第一次教育制度検討委員会「日本の教育改革を求めて」が重要なので、抜粋だけではなく本文もどこかで読んでみたい。もうひとつの鍵はおそらく1960年代の経済審議会の存在であり、『経済発展における人的能力開発の課題と対策』であろう。これも偶然、開いていた棚から見えて、これだと思ったものである。なお、調べたら、この本は日本現代教育基本文献叢書の一冊として復刻されているようなので、本物の歴史研究者にとっては基礎資料なのだろう。

本格的に理論的なレベルからやろうとすると、マン・パワー・ポリシーの歴史を日米で抑える必要があって、これは数年単位の仕事だが、二次資料程度の緩いものでよいのであれば、資料集めから数えて一週間か二週間くらいで論文が書けそうだな。正確には教育図書館に2,3日籠もって、あとは論文を書けば大丈夫そう。われわれ歴史班としてもこのあたりのことを絶対にきちんと整理しなくてはならない。が、おそらく今の歴史班のメンバーを見ると、明らかに私がやるしかないような気がする。稲葉さんからのMLを読んでますますその思いを強めた。教育史ならびに教育社会学で既にこの分野の研究が行われていることを希望したい。面倒なので。

予め私が応募したテーマは所詮、やり始めてしまえば3年もかかるものではないので、とりあえずはこちらの方を優先させた方がいいかもしれない。多分、社会人のマナーとしてホウレンソウを重んじるならば、先に相談だが、ブログに書いてしまった。すみません、森班長殿。
スポンサーサイト
コメント
いや,ぜんぜん,どんどんやってもらっていいと思いますよ,勝手に。ただこれって四六答申ってやつでしょ。教育学系では(視点がどうかはあれだけど)一番言及されてるものですよね,たぶん。まあ,お前が教育学語るなっていうことですが。
2010/04/28(Wed) 07:20 | URL | morinaoto | 【編集
Re: タイトルなし
ありがとうございます。では自由に行きます。
いくらなんでも忘れられることはないと思ってましたが、そうであればますます新自由主義うんぬんは解せませんね。多分、細かく見てくと、経済審議会の答申の方が重要です。二つの意味で。それはそのうち、お話します。
2010/04/28(Wed) 08:19 | URL | 金子良事 | 【編集
いま手許になくてうろ覚えなんだけど、90年にでた乾彰夫さんの『日本の教育と企業社会』(青木書店)という本があって、そこで乾さんはおそらくは当時の同僚の上井喜彦さんに教わった知識をもとに当時の「日本型企業社会」論と教育政策との関係についてまとめていて、そこでこの経済審議会報告だの日経連『能力主義管理』だのが分析されている。
 議論の大枠としては佐口さんの「「雇用問題」の転換」にやや似ていて、政財界は当初60年代まではオーソドックスな外部労働市場重視、クラフト的技能重視の能力観に立脚して、公教育にもそうした労働力養成への貢献を期待して、中等教育における職業教育の充実などを求めていたけれど、それは結局実現しなかった。しかし財界は現実を、内部労働市場論的な「能力主義管理」論によって追認し、普通高校優位の中等教育をも是認した、って感じかな。
2010/04/28(Wed) 21:40 | URL | いなば | 【編集
稲葉さん、ありがとうございます。そこはまさにツボですね。乾さんの本はぜひ読んでみたいと思います。ああ、何というか、一般的な理解。技術革新の議論が1950年代からずっとホット・イシューだったわけですが、そのあたりをどう処理しているのかが決め手だと思います。何れにせよ、5月中には読みます。


2010/04/28(Wed) 22:33 | URL | 金子良事 | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック