さて後半も第2段、今日で終わりですよ。ここで論点に挙がったのは、職業訓練が産業から独立して成立し得るかどうかという問題である。

ここで私の左から数えて4人目に座ってらした方(斎藤先生と院生の間)が、いやそんなこといったって日本には現に産業があって、中小企業をはじめとしてそこで働いている人がいるんだから、そういうところから考えなければダメじゃないか、という非常に重要な問題提起をされた。

この問題提起に対してその重要性を改めて強調しつつ、私はいつも喋ってることを繰り返した。もともと、明治以来、繊維の産地では徐々に地元の力で産業を作っていった。そうして、そういう中からたとえば足利がよい例だが、自分のところに繊維の専門学校を作っていった。しかし、そうやって全国にできた繊維の専門学校は戦後、大学に組み入れられ、繊維としての看板を下ろさなければならなかった。たとえば、東京農工大。あそこはもともと繊維学部であったが、工学部に鞍替えし、今や繊維の学科はない。ちなみに、繊維専門学校の母体が試験場であることは意外に多い。そういうわけで、産業構造の転換をどう考えるかということが重要である、ということである。そして、現場ではどうなのか高橋さんに振ったわけである。

と、ここまで来て、これを書いていいのかどうか迷った。ご迷惑がかかると申し訳ないので、発言者をぼかしながら、やや抽象的に書くことにしよう。当日はもっと具体的なレベルで熱い議論が交わされた。

論点になったのは企業誘致と職業訓練を結びつけるとしたら、公共職業訓練はどうあるべきか、というような点である。実はこれは前半から少し議論に出ていて、企業内訓練であったら、現に働いている場でどういう人が必要か分かるので、訓練プログラムを立てやすい。それに対して、公共職業訓練の場合、目標点をどこに置くのか、もっと平たく言えば、何をやるべきなのかが難しいという意見がどなたからか出ていた。この話の途中で、私が一応、経済畑なのでということで、理論的には一般熟練と企業特殊熟練があり、現実にはそれが明確に分けられるわけではないけれども、一般熟練が7,8割でしょう、という説明を加えた。

大前提というか基本的な建前だと思うが、公共職業訓練は一社のために行うわけにはいかない、という意見が出た。これに対し、職業訓練は一社に労働力を提供するためにやっているわけではなく、労働者に技能を身につけさせるためにやっているんだ、その結果、一社しかそこになく、そこに雇われて暮らせていけるならば、それでいいではないか、という意見が出た。私も、日銀や野村證券ではないけれども、人材供給会社(日銀は民間会社じゃないけど)というような、内部養成が原則なんだけど、スピンアウトもするし、それが次の場所で活躍するというようなパターンもあるのだから、ある産業集積のコアの大企業を中心に職業訓練を作っても、必ずしもその企業でしか働けないというわけでなく、むしろ中小企業にも恩恵を与える道があるのではないか、ということを話した。もはや何でもあり、言うだけである。

このあたりでタイムアップ。実に後半その1、その2の内容はすべてわずか2時間の中で議論された事柄である。よく考えたら、日本産業教育学会のメンバーが結構、揃っていたにもかかわらず、私はほとんど自分が興味がある方向へ勝手に話を進めてしまった。知らないとは恐ろしいことである。私としてはかなり手ごたえがあって、よい研究会だと思ったので、三回くらい萬年先生になんとか研究会が続けられないだろうかとお願いをしたので、皆さん、今後の展開に乞うご期待!
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