東日本大震災が起こって、早速、CFWというプロジェクトが起こっている。私も及ばずながら、これに参加した。労働問題・社会政策研究者として絶対に言っておかなければならないことがあると感じたからである。我ながら、前エントリからの素早い転身である。

このプロジェクトは災害(減災)政策を専門とする関西大学の永松伸吾さんの提言に賛同したものが行動しているものである。私も既に何人かの方に声を掛けて参加してもらったが、復興は多くの方の暮らしに関わる一大プロジェクトであり、だからこそ、そこで暮らす人々の心や生活を破壊するものであってはならないと思っているので、想像し得るすべての智慧を結集させたいと願っている。ぜひ、皆さんもご協力いただきたい。

CFWというのはCash-for-Workの略で、簡単にいえば、復興を地元の人の手で行うプロセスで、手伝ってくれた地元の人に賃金を払う、というものである。元々は貧困の多い開発途上国で起きた災害のときに、食糧支援だけではなく、貧困対策も兼ねて行われた。既に、ハイチの大地震やインドネシア・アチェの大津波などの災害だけでなく、貧困プログラムとしても全世界で手がけられている。社会政策関連の方々ならば、食糧支援から雇用援助へという話を聞けば直ちに「ああ、NPO活動版のWelfare-to-Workね」と反応されるであろう。発想の転換の仕方はまったく同型である。お気付きだと思うが、日本でそのまま適応できるわけがない。ということで、今、メンバーでいろいろ議論をし始めているところである。

このプロジェクトでブックレットを作るために、私も原稿を寄せたが、それを公開してよいのかどうか、分からないので、私の考えた基本的な論点だけ紹介しておく。これは私個人の意見であって、プロジェクト全体の総意ではない点はご注意いただきたい。

第1段階 簡単な仕事についてのみCFWで対応(主体はNPOなどボランティア団体)
第2段階 CFWは複雑化
地方自治体を中心とした行政、国は全体のバックアップ
・雇用政策(職安行政)および商工農林水産行政の連携による経済発展
・福祉行政
→ここから必要な事業をボランティア団体ないし民間企業に出し、CFWを実施する。

このとき、現地公務員の人数が足りないので、各地から当該行政担当の公務員(エースクラス)を派遣する。派遣元は当然、人手不足になるので、この分の給料を支援金で補填できる仕組みなどを整備する。ここで得た経験をもとに各地で地域振興してもらう。その後も人事交流をする。私は東北から日本全体を活性化させるくらいの心意気で考えている。

戦後、何度も労働省および地方自治体の職安行政は人の移動に関しては上手にやってきた。だが、それは何れも敗戦であり、斜陽産業から人を移すというのが主だった。特にイメージされるのは石炭、すなわち、炭鉱労働者である。そこから、地域発展というところになかなか結び付かなかった。これを組み合わせなければならない。

第1段階の仕事はおもに単純労働。賃金水準は1本。あくまでボランティア主体であり、賃金は最低賃金以下に設定する。CFWは経済復興を阻害しないようにするため、雇用の奪い合いにならないことを配慮する必要があるからである。これは既に世界中で実践されてきたものである。私はボランティアの一環という位置づけを強調するために、賃金というより見舞金を出す、という形にすべきだと主張している。こういう労働行政の禁じ手をやるのは、どんなに長くても短期(数か月)という条件があるから。ポイントは、絶対に短期、ということ。

第2段階は当然、期間も長くなるので、単純労働だけでは終わらない。査定も織り込んだ労務管理を考えなければならない。これは各団体、というか、各現場に任せざるを得ないだろう。ただ、話が厄介なのは、労務管理の技術もさることながら、ボランティアが入っているので、技能の高低だけで賃金を決める、というような明確なことを決めにくいのである。このあたりが難しいところ。これは継続して、考えてみましょう。

多分、産業としては水産業と福祉産業を興隆させる仕組みを作らないとならないと思う。圧倒的に高齢者の多い地域だろうから。そうなると重要なのは地域福祉である。そのことも書いたが、私のブログには社会政策(福祉)系の方で読んでくださっている方もいらっしゃるそうなので、ぜひにこの試みに参加して、一緒に議論して、新しい仕組み作りをお手伝いしましょう。

一番、大事なことはどんなことも手伝いであって、本来、被災地の方々と私どもの関係は人間同士、対等であるのが望ましいが、ややこしい上下関係が作られる可能性もある。だから、予め上下関係を明確にしておこう。よそ者はすべからく被災地住民の方々の下について奉仕する精神でやるべきである。もちろん、一切の説伏(学者が一般の人を議論で言い負かすこと)は厳禁である。

とりあえず、これからプロジェクトのインフラも整備されて、いろいろ議論できるかもしれないが、私は私でここでも復興において考えなければならない問題をどんどん発信するつもりなので、ぜひ、コメントを利用したり、ツイッターでつぶやくなりして、議論していただきたい。
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