今回の『社会政策』投稿論文の一本は白瀬さんの「英国における看護師の職務拡大」だった。知らない領域だけれども、20世紀から21世紀にかけての専門職を考える上で示唆的な内容だった。ざっくり言うと、20世紀はウェバーが言ったように官僚化の時代であり、それと対応するように数々の専門職が確立していく時代でもあった。重要なことに、その専門職は時代が変われば変質していくもの。白瀬さんの論文はイギリスでの看護師の変遷という大きなテーマを扱っている。単に職域が拡がりましたねという話ではない。

白瀬さんの論文は、看護師をめぐる周りの環境、医者との関係、看護職間の関係、医療経営などといった複数の支店を包括的に扱っており、それはそれで勉強になるけれども、次はもう少し個別論点で深めたところも知りたいなと思った。たとえば、決定的に大事なのは「職務記述書」だと思うが、ここのところは実際の「職務記述書」を見てみないことには何とも言えない。ジョブ・ディスクリプションというのは20世紀初頭のテイラー以来の伝統を持っているが、実際には1950年代の日本の製造業、たとえば鉄鋼業などでは「職掌」的な意味をもっていた。イギリスの看護師も多分、後者であろう。そうすると、多分、職務記述書をどう理解するかということが決定的に重要になってくる。もうちょっと突っ込んで言えば、実際に職務内容がどれほどの具体性をもって書きこまれているのか、ということが肝になってくる。

白瀬さんと言えば、私は院生の頃、大竹さんから紹介されて、以前は学会でもよくお会いして挨拶を交わした。すっかりご無沙汰しているが、同世代の仲間がよい研究を出してくれるとそれだけで元気になる。
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