大阪エル・ライブラリーで伍賀偕子さんに『日本の賃金を歴史から考える』を紹介していただきました。ありがとうございます!

“大幅賃上げ”か“横断賃率”(=職種別・熟練度別賃率の確立)かの論争を取り上げるべきではなかったかという問題提起をされています。それは入門書ではどう考えても難しいですよ(笑)。この背景を説明するためには、ちゃんとした労使関係論を理解しなければなりません。ただし、もう一つ、言い訳をすると、これは熊沢誠先生が語って下さっているので、私が改めて書く必要ないかなと思ったというのもあります。

もともとこの企画は二本立てで、『日本の賃金:歴史と展望』という報告書と、私が書いた本でした。報告書は、中野さんが書いた本論、各産別の賃金担当者の産別賃金の歴史、それから講演録の三部構成になっています。この講演録の中に、同盟の枡本純さん、日経連の成瀬健生さん、孫田良平先生、それから熊沢誠先生の書かれたものが入っています。そして、この熊沢先生が横断賃率も話されています。本の中でも紹介しましたが、この報告書、すごい面白いですよ。248頁以降が熊沢先生ですから、ぜひ読んでください。熊沢先生が説明されている三つの立場のうち、最初の一つが年功賃金擁護論で、これが大幅賃上げと重なります。この他に、職務給推進の立場があり、最後の一つに横断賃率論があります。そういう構図になります。

企画段階で誰を呼ぶかという話になったとき、左右両派を呼びましょうと提言して、しかも熊沢先生にお願いしてくださいと指名したのは私です。私は熊沢先生がもっとも実証的に書いた論文は岸本編の『日本賃金論史』に収録された「年功賃金論と同一労働同一賃金」だと思っています。これは修士の時の作品ですが、ものすごいレベルが高い。今でも読まれるべき研究だと思います。

ちなみに、熊沢先生の議論は冒頭の話から、現代のジェンダー視点を含めた議論へと進んでいきます。私の見解は熊沢先生と実は一緒ではありませんが、熊沢先生の議論は典型的な左派の議論であり、その最高峰です。この観点から読み込まれるとよい勉強になるでしょう。ただし、最初に書きましたが、これは入門レベルを超えてます。ジェンダーで賃金を研究したい人は必読です。というか、これくらい理解してなければ、プロとは認められません。
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