まだ、7割くらいしか読んでないんですが、この本は本当にすごかった。始めてから5年かかったというけれども、ここまでくるのには大変だったろうなと思います。この本のすごいところはいくつもありますが、根本的にすごい広い領域の文献に目を配っているのに、全然、文章が難しくない。それだけ自家薬籠中のものにしているということでしょう。ただし、私は出てくる登場人物の7割以上を知っているので、それですんなり入ってくるのかもしれません。全く知らない人にはきついかな。

もうひとつ、私が唸ったのは、この構成ですね。時代別に構成されているなかに、時期ごとの人材育成の章が入っているんです。つまり、ざっくり言ってしまえば、そのときそのときの時代のニーズにあわせて、人作りを行って来た、ということがビビットに分かるようになっています。そうして、その背景には、立法府、行政、内閣などの関係が分かっていないと書けないわけです。この本は飯尾潤『日本の統治構造』中公新書、2007年と並んで、日本の政策を研究する人は必読でしょう。といいながら、これを書くまで『日本の統治構造』を忘れてたわけですが・・・。でも、そのかわりにこの清水さんによる書評を見つけました。

この書評を読むと、ああ、こうやって読み込んで、それがこの本を書く下地になっているんだなということもよくわかりますね。普通、ものすごい研究が出ると、その後はみんながあきらめてその分野に手を出さなくなるので、砂漠化するんですが、こういう風に、いい刺激を受けて、さらによい研究を出すというのは理想ですね。

この人材育成という観点で書かれているのは、日本の教育制度を考える上でもとても参考になります。有用の材を作ろうというのがそのスタートだった。そして、より幅広い知識から専門的な勉強を学ばせようと変わってくる。その背景に、藩から中央政府へ人材を流出させよう、そのことを通じてパワーバランスをひっくり返そうという、そういうダイナミズムもはっきり書いてあります。

こういう泥臭い高等教育のあり方とその後の教育制度、とりわけ職業教育と普通教育、公民教育の関係の変遷なんかもしっかり考えていかなければなりません。そのためには、出てるのは知っていて、しんどいので読んでない天野先生の『大學の誕生』(途中まで読みました)と『高等教育の時代』に向き合わないといけないですね。
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