第4弾です。

①「二つの賃金」とあるが、これは報酬に対する二つの考え方のことなのか。(p.42)

分かりにくくて、ごめんなさい。感謝報恩と受取権利の二つのことです。

② 給料=義務なのか。 (p.43)

該当箇所がどこか分からず、この質問の意味もよく分かりませんでした。

③「日本的」がよく理解できなかった。(p.68)

よく理解できなくて、当然です。生活を支える賃金がよいということを、日本全体が天皇を中心とした家族であり、その家族の生活を支えるためにあるのが賃金である、という風にもったいぶって説得したのです。これは⑤皇国勤労観…「勤労は皇国に対する皇国民の責任たると共に栄誉たるべき事である」 (p.87)というところと繋がっているわけです。

④年功賃金は日本特有なのか。(p.68)

そんなことはないと思いますよ。右肩あがりの賃金カーブはいろんなところで見られます。ただ、前の質問とも関連しますが、その説明の仕方で、日本に特有であるという説明が好まれました。これは賃金の問題というよりももっと広い問題ですね。一昔前まで「日本人論」というものがたくさん書かれていました。「日本人論とは何か」という日本人論まで書かれる始末でした。そういうアイデンティティのあり方の延長線上に捉えて下さい。

⑥【討論】メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用のメリットとデメリット(p.117)

これは労使双方の立場から考えてみて下さいね。会社側から見ると、どういうメリットとデメリットがあるのか、労働者側から見ると、どういうメリットとデメリットがあるのか。

⑦ 当時「保護」はマイナスのイメージだったのか。(p.194)

そうですね。つぎの質問とも関係しますが、独立・自立ということが重要ですから。だから、今は労働安全運動というのは工場では定番ですが、100年前にはけがをして当たり前、というか、(旋盤などの操作を誤って)指一本ないくらいが一人前という風潮さえありました。労働安全運動はそこも突破して行かなければならなかったのですね。

⑧【討論】ボランティアと労働は完全に切り離せるのか。(p.191)

これはすごい重要な問題です。ボランティアとは何か。自発性とは何か。仕事をする上で自分でものを考えるということがいかに重要か。そういうことが全部、絡んで行きます。私の考えもありますが、これはぜひ、みなさんで考えて下さいね。

⑨労働基準法の適用範囲は実際あやふやなものなのか。(p.188)

うーん、これも微妙な、答えるのが難しい、しかし、決定的に重要な問題ですね。正確に言うと、ちゃんと決まったルール(たとえば昔の判例で示された)があったとしても、後の人はそれをみんな勉強するわけではないから、好き勝手なことを言って、混乱を生じさせているという面も大きいと思いますよ。結果として、あやふやにさせられている、というのが趨勢でしょうかね。あやふやかどうか確認しないで議論する人が多いのか?と問われれば、その答えはイエスだと思います。基本は賃金をもらって雇われる労働者は全員、適用されます。ただ、実際は慣例によって、実質的な管理者かそうでないかで線引きがされていますね。管理者であるかどうかは、仕事量、内容を自分でコントロールできるかどうか、上司がコントロールするのか否かで判定されます。

⑩雇用についての全体像が本書に書かれているのに、なぜタイトルに『賃金』を使ったのか。

昔、賃金にはすべての問題が詰まっていると孫田良平先生から教わったことがありましたが、賃金を徹底的に考えることで、雇用の全体像を見渡せるようになる、ということはありますね。現代の雇用関係が労働と賃金の交換関係という側面を持っていることから来る必然なのです。とはいえ、あくまでこの本は賃金の本なのです。みなさん、雇用の全体像を描いたと評価して下さっているんですが、結構、重要な問題を書いてなかったりします。たとえば、派遣労働ですとか、セルフ・エンプロイメントですとか。あとは最近のホット・トピックである労働時間規制の問題も取り扱っていません。でも、本の中には労働時間はもう少し取り入れるべきでしたね。


日本の賃金を歴史から考える日本の賃金を歴史から考える
(2013/11/01)
金子良事

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