昨日、一昨日、岡山大学で開かれた社会政策学会に参加して来ました。ここ最近は私のブログで何が書かれるかチェックするのをひそかに楽しみにしている方もいらっしゃるようなので、期待に応えたいところですが、じつはあんまりよく聞いていなかったので、そんなに詳しいことは書けません。

昨日の共通論題の濱口先生の報告はさすがでした。フル・ペーパーを読んでもさっぱり分かりませんでしたが、話を聞いているうちに分かりました。これは証拠というか、資料という意味合いをレジュメに込めたせいでしょう。EU全体の政策についてですが、その中でも理想とされるモデルがあること、それがデンマークからドイツへ移行して行ったこと、そして労使の究極形態である労使自治と法による規制の相克など、興味深い論点が多くありました。しかし、内在的な質問はほとんどなく、非常に残念でした。

といって、田中ドイツモデルと菅沼さんのデンマークの話は、打ち合わせで聞けなかったので、内容は割愛、後半の日本の問題提起はなんというか、戦略上のナイーブさが質問のなかで指摘されて、学会だからこそそういうことを捨てた議論をしたいというお答えという経路に行ってしまったのですが、本人の意向を汲んで、ちゃんと内容的に毒にも薬にもならない、と言えばよかったのではないかと思いました。私はちらっと発言しましたが。まあ、安倍政権のジョブ型正社員が危ないという主張をお持ちなら、もともと濱口さんが言い出したことなんだし、どうなんですかくらい突っ込めば、少しは緊張感があって面白くなったと思います。

もっとも、濱口さんがどう答えるかは、別のところでの発言(というか前から一貫してますが)からも分かります。つまり、社会の中核は、役人がどういう意図を持って変えようとしても、変わらない。事実、それを繰り返して来た。というところで、おそらくジョブ型社会には今のままではならないということでしょう。勝負はそこではなく、結果的にそこに落ち着くだろう、周縁的なところなのです。

私は一応、質問したんですが、学会内政治的な意味での質問で、ヨーロッパの場合は、EUという核があって、そのなかでモデルがあり、ドイツからデンマークになった、今回の報告もそれに対応して分かる。ただ、コメントの日本だけはただ一国であり、これはどこの圏に所属するのか、ASEAN+アルファになるのか、TPPのように環太平洋ということになるのか、あるいは考えなくてはならないのか、ということでした。その答えは、日本はアジアではないということだったのですが、それは濱口先生が私の芝居につきあって下さったということなのですが、事実、そのリプライを喜んでいる人もいました(笑)。

懇親会で、なんであんな質問をしたのかと言われて、まあ、ヨーロッパだけでなく、アジアこそ重要なんだと東アジア部会まで立ち上げているグループへの揶揄もあるわけですが、そこは二枚腰をこちらも用意しています。つまり、アジアはヨーロッパでいえばEEC以前の状態。でも、逆に言えば、EUはヨーロッパという理念を体現しているかのようだけれども、もともと経済協定で、それが発達した。ということは、経済協定を橋頭堡に何か生まれるかもしれないということで、それがさしあたりASEANなのか、環太平洋なのか分かりませんが、将来のことを踏まえても、一国を超えたグループを考える必要があるだろうということなのです。

というか、質疑応答は個別論点にわたり、私は内容をメモしていないので覚えていませんが、そのレベルは相当に高いものだったと思いましたし、事実、私がお話しした何人かの、しかし、私が実力的に信頼する人たちはさすが社会政策学会のレベルの高さを感じたということでした。ただ、いずれも一国、労使関係という旧来の枠の中だけの話であったと思います。だからこそ個別論点では、デンマークはどうですか、ドイツはどうですか、(そしておそらく気を遣って)EUはどうですかといった珍妙な質問が飛ぶことになります。それは冒頭に戻って言えば、EUという枠がなかった。あの数多い討論の時間のなかで、唯一その点を指摘したのが深澤先生だけだったと思います。ただ、惜しむらくは、深澤先生は会場の皆さんに情報をシェアするために、フランスの事例など事実レベルの話も多くいれてしまったので、そこんところは隠れてしまった感がありました。

あとは、いろんなところで聞くんだけど、日本の産別がダメ、ナショナル・センターがダメというときに(本当にダメかどうかは別にして)、企業別組合だからダメという論理はいいかげん何とかならんかな。産別も、ナショナル・センターもそれぞれ問題は抱えていると思うけど、企業別組合を前提に運用されているこれらの組織の内在的なところに入って行って、もう少しきちんと分析しないと生産的にならないし、そもそも50年以上前に運動上のスローガンから始まったこの定理がそのままスローガンであったことも忘れ去られ、継承されて唱え続けられているというのは、なんというか、グレシャムの法則ですね。まあ、そもそも良貨じゃないけど。。。

濱口さんの報告は相当にレベルが高い、というのが私が昨日のバスの中で聞いた話で、結局、多くの人は理解できなかったのではないか、というのが私の見解。それを受けて、レベルは高くても外在的質問が多い、内在的に質問するのは難しいという話なんですが、あとで考えると、これって実例を見て学んで行くしかないよなと思います。そういう意味では、私は本人が持っている武器を本人から奪って本人以上に上手に使って追いつめて行くという猛者たちと、それに切られた多くの友人、もちろん私自身も、見て来たので、それは有り難い経験だったと今になって思います。

長くなったので、二日目は明日。といっても、自分のことだけですけど。

追記 そういえば、ちゃぶ台返しっていうけれども、難しくてちゃぶ台がどれか分からない、という話を今日のお昼にしてたな笑。
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