年功賃金というのは、本当に分かりにくい概念ですね。ですが、大きく分けると、二つのことがあって、それが混同しているというところがある。一つは、日本全体の賃金カーブの話。もう一つは、各企業の賃金制度の話です。問題をややこしくしているのは、かつて日本的経営論というのがあって、それを化粧直しした日本的雇用システム論というのがあります。これは大企業モデルなんだけど、これが日本全体を説明して行ったというところがあります。ただ、それとは別に日本全体の賃金カーブを年功的と説明することは可能なんですね。

秋から政労使会議が始まって、選挙の翌日かなに最後の回をやって、今年の「取組み」が発表されました。率直に言って、ゼンセン逢見会長が素晴らしい仕事をなさいました。ゼンセンは誰が作ったのか分かりませんが、完璧なプレゼンといってよいでしょう。逢見会長の資料はこちらになります。

逢見さんがいっている年功賃金は日本全体の賃金カーブの話ですね。これをマクロ経済政策たるアベノミクスと整合的な形で説得している。そして、それは決して政府に迎合するという形ではなく、労働組合として訴えるべきところはあまねく網羅していると言えます。それは同時に、財界、というよりは会社側への、人材育成を重視したいのにこのままでよいのですかという問題提起でもあります。大きなストーリーは、年功賃金の擁護、成果主義の見直しという文脈に見えなくもない。

ただ、逢見資料のなかで出典としてあげられている生産性本部の調査、これはいただけないですね。一応、概略が公開されています。何がいただけないかというと、「役割・職務」を一緒くたにしていることです。また、その一方で職務遂行能力を切り離している。この調査は、2014年における定期昇給の意味なども全然、分かっていない。

多くの人が誤解しているんですが、年功賃金という言葉の第二番目の意味、つまり、企業内での賃金制度の話をするときに、査定付きの固定給の場合、どうやったって年功的になります。しかも、評価はどうしても甘くなりがちになります。この点についてはいつの時代のどの国でも起こりうることであって、日本が例外ではありません。むしろ、アメリカと比較すると、日本の方が評価を厳しくしていると言われることもあります。おそらく、アメリカでは雇用差別による訴訟リスクが高いためでしょう。いずれにせよ、役割にシフトするということは、成果給や仕事給から、年功給への回帰なんですよ。
スポンサーサイト
コメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック