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永松伸吾先生から『復旧・復興期の被災者雇用』をお送りいただきました。ありがとうございます。そして、ご紹介が遅くなって、すみません。

東日本大震災が起こった後に実施された政策としては大きな意味を持っていますし、これをどう総括するかということが今後の災害においても重要になることは間違いないだろうと思います。そういう意味では、この報告書は大事な資料になることは間違いありません。と、同時に、こんなものか、という印象もないではない。

岩手県はともかく、福島県、宮城県における緊急雇用事業というのはすごいプロジェクトだったと思います。残念ながら、岩手県は大きければ大きいほど失敗しているという印象が強くあります。そのなかではここで取り上げられている@リアスのプロジェクトは成功している方でしょう(という評価をすると、釜石・大槌地区の友人に叱られそうですが)。もうちょっと、掘り下げて書いてもよかったんじゃないかな、と思います。

こんな事を言うと、今度は別の方面から叱られそうですが、結局は政府の出先機関JILの調査だなという感想です。端的に言うと、政策のうまくいった面を書かなきゃなんないんだろうなということです。それはそれで世の中には必要なことです。

ただ、キャッシュ・フォー・ワークをきちんと考えたい人は、永松さんが書いた岩波書店のブックレット『キャッシュ・フォー・ワーク』を読んだ方がいいです。


キャッシュ・フォー・ワーク――震災復興の新しいしくみ (岩波ブックレット)キャッシュ・フォー・ワーク――震災復興の新しいしくみ (岩波ブックレット)
(2011/09/08)
永松 伸吾

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あとは福島県を調査したキャッシュ・フォー・ワーク・ジャパンの報告書があります。なお、私は団体には関わっていますが、この報告書には一切、関わっていません。実態をこれだけ丁寧に調べた調査としては貴重なものだと思います。こちらもぜひご覧いただければ幸いです。ただし、理論的な深まりはほとんどありません。

今回のキャッシュ・フォー・ワークが新しい可能性を開いたとしたら、民間の力を借りたことで(具体的に出していいかどうか分からないので、おおざっぱにそう言っておきますが)、その仕組み作りには永松さんの力が大きかった。2011年4月当初、私は永松さんの説には反対しましたが、永松さんは提言だけじゃなくて、実際、奔走されて、震災の大きさから見れば微力にすぎないかもしれませんが、それでもちゃんとした成果を残されたと思っています。ただ、そこはあまり触れられていませんね。本人だからかえって書きづらいと思いますし、私も近くにいすぎたので無理ですので、どなたかに書いていただけると大変、うれしいです。私自身は研究としてこの震災関連の問題を取り上げる気持ちはまったくありません。実践的に中に関わり、あるいは関わりを持っている人間は書くべきではないと考えているからです。もちろん、いろんな立場がありますので、私はあくまでそういう信条でやっているというだけです。

ただ、あえて言えば、この問題はプライバタイゼーションとも関わっており、日本の行政、民間企業、非営利団体の関係、さらには国際的NGO、ないし宗教団体(カトリックのカリタスやシャンティ)などの協業関係を考える上でリソースフルでしょう。このエントリ自体、少し薄っぺらいですが、これからもこういう問題を考えていきたいと思います。
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しばらくこのフレーズを使っていませんでしたが、今日で震災から3年11か月が経ちました。この間に、hahnela03さんの今年最初のエントリで教えていただきまして、昨年末に震災時のCFWの観点から緊急雇用創出事業をまとめたJIL-PTの労働政策研究報告書で公表されていましたので、早速拝読しました。 結局本エントリをアップするまでに1か月以上かかってしまったのですが、本報告書の執筆陣の中に...
2015/02/11(Wed) 22:25:17 |  machineryの日々