大原社会政策研究会を開催して早いもので18回を数えるようになりました。今まで2回くらいしか告知してないのですが、若手研究者の交流を図るという研究会はお陰様で順調に回数を重ねて参りました。今回は共立女子大学の寺尾範野さんにご報告いただきます。

日時:2016年1月9日(土) 15時20分~17時20分
報告者:寺尾 範野(共立女子大学 国際学部 専任講師)
報告テーマ:優生学とイギリス福祉国家思想――世紀転換期のニューリベラリズムを題材として
開催場所:法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2

今回は特に思想史研究者の方をお呼びしての研究会となりました。寺尾さんとは「社会的なもののために」研究会(正式名称は違うかもしれません)に参加したときに、初めてご報告をお伺いして、これはぜひうちのみんなにも聞かせたいと思って、その場でご報告をお願いしたところ、快く引き受けてくださいました。事務局の一人としては普段はなかなか出会うことがない分野の本物の研究者の議論をぜひ味わって欲しいと思ったのでした。この研究会は、多摩の山奥まで訪れて勉強したいという人には誰にでも、門戸を開いていますので、ご関心のある方はぜひご参加ください。ただし、レジュメを用意する関係上、事前に連絡をくださいね。アドレスは左のサイドバーのプロフィール欄に書いてあるので、コピペしてご一報ください(スマホだと、サイドバーが表示されないのでここにもアドレスを書いておきます。ryojikaneko@gmail.comです)。

寺尾さんはイギリスのニューリベラリズム思想を研究なさってきて、今回のご報告もその一環です。寺尾さんからの紹介では「社会権理念と優生思想の緊張を孕んだ共存という観点から、J.A. ホブスンやL.T. ホブハウスのニューリベラリズムの福祉国家思想を再考する」というものだそうです。これだけでも想像が膨らむし、面白そうですよね。社会政策においては優生思想は重要な問題ですから、どんどんいろんな切り口で研究が深まって欲しい分野です。

内容については、あくまで想像になってしまうので、私としては寺尾さんをお招きした理由を少し雑談で書きたいと思います。思想史研究にはいくつかの流儀があると思うのですが、私自身が最初、模範としたのは杉原四郎の書誌学をベースにした思想研究でした。ミルとか、マルクスとかです(例によって、全然覚えてないですが)。とにかく厳密な文献考証を本懐とする書誌学は重要な学問だと思っています。歴史研究とも相性がよいんですよね。

でも、思想研究は、そういう地を這うようなスタイルではなく、ときに飛躍が重要です。その飛躍は自分の内なる問題意識(それは現代の起こっていることから作られる)からやってくる気がします。書誌学的なものを独学でかじってきた私なんかはその思想家自身がどう考えていたのかを追求することを重視しますが、思想研究のなかでは過去の思想家がどこまで考えていたかではなく、その思想家の思想そのものにどういう可能性があるか、要するに継承して思考するというスタイルがあって、寺尾さんはまさにそういう方だなと思ったのです。ホブスンがどう考えていたかではなく、ホブスンの思想にどういう可能性があるのかが探求されます。

この研究会は、書誌学ではないですが、現場を丹念に調査して足で稼ぐ、まさに地を這うスタイルの人が何人もいます。そういう人たちと寺尾さんのような研究者が出会ったら、どんな化学反応が起きるのか、今から本当に楽しみです。
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