図説労働の論点』旬報社を著者(兵頭淳史さんかな?)からいただきました。ありがとうございます。

7人の著者(うち、4人が編者)によって個別のトピックが6ページずつくらいで書いてあります。目次は版元のホームページにわりと詳しくのっていますし、表紙にキーワードをのせているのも、ビジュアルとともに内容を表していてなかなかいいです。

ワークルールをわりと大きく扱っているのは珍しいですが、旬報社がワークルール検定を広めようとしていますから、当然と言えば、当然です。ただ、割と、この短い文章のなかで、こうすべきだという提言や、著書の意見がだいたんに語られているところもあり、そういうところは個人的にひっかかりました。ただし、神部さんの「若者たちとユニオン」のように、一つの運動家の立場からの意見というのが明確に分かるものは、中途半端に傍観するものより、こういう方がいいんでしょう。とはいえ、労使関係のところが「くみあい」と異なる「ユニオン」という立場を前面に押し出して書かれている点はやや奇妙な感じがしました。

左派か右派かという区分よりも、労働の暗部に焦点を当てるのか、光の部分にも焦点を当てるのかといったバランスで考えると、本書は圧倒的に暗部に焦点を当てています。その具体的な解決法というのは、まさにこの中では「若者たちとユニオン」のところだと思うのですが、それならば、いっそのこと、もっと運動的な観点からのものとして読みたかったな、と思いました。というか、逆に言うと、学生・社会人必読!と銘打たれているのですが、私からすると、どこに訴求しているのか、わかりにくかったです。

たとえば、第3章の「ワークルール」では、賃金(反対給付)の問題と労働時間の問題をセットで考えなくていいの?もし考える必要があれば、どうつなげる必要があるのか、といったような横の関係が知りたい。もちろん、同じ章でワークルール、労働時間、賃金の問題が扱われているので、そこが関係していることは意識されているわけですが、項目ごとのつながりがよく分からないのは残念です。じゃあ、現場で運動的な視点ではどう考えるのか。そんなことが知りたかったですね。

それと男女の賃金格差の問題、同一労働同一賃金の問題は、遠藤公嗣さんのような職務分析派と職務分析は限定的だから水準に焦点を当てるケア付き無所有者の生活モデルという三山雅子さんの議論も紹介して欲しかったです。というか、そこだけでもいいくらいです。男女差別問題は。と言い出したら、きりがないので、このあたりで。
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