前エントリの続き。

所属型賃金対契約型賃金、あるいはメンバーシップ型対職務型

前回はブルーカラーをみたわけだが、今回はホワイトカラーをみてみよう。ホワイトカラーの場合、熟練工のように、職人の系譜を引き継いだわけではないので、tradeはそもそも存在していなかった。しかし、組織内での職務は標準作業表とは別の形で予め定められていた。すなわち、職掌である。その意味では、tradeと同じようにある職種が組織内に確立していたといってよい。

職掌は基本的に権限と責任を明文化したものである。ほとんどのケースでは細かい仕事のやり方までは示していないと推測されるが、それでもどの領域の職務を行うかは明確といえるだろう。もちろん、現実には境界上の仕事に従事する者もいるが、そのうちの幾分かは兼務という形で、形式的にも対応(ないし表現)可能なのである。重要な点は、細かい作業分析の結果、職務(ないし職掌)が構築されるわけではない、ということである。ここに前回、tradeについて書いたように、作業の詳細までが分かっていなくてもよい、という含意がある。ただし、この場合「詳細」というのは当然、時間・動作研究を念頭に置いているので、秒単位という意味である。つまり、職務を確定するには、権限の委譲という形で上からおろしていく方向とtaskの積み上げという下からあげていく方向の二つのベクトルが存在するのである。前者によって決められる人々をスタッフと呼び、後者によって決められる人をラインと呼べば、常識的な話として落着くだろう。ちなみに、ついでに述べておくと、八幡製鐵が1950年代からライン・スタッフ制度を導入しようとしたとき、彼らは主観的にはアメリカ方式を批判的に摂取したのだが、実はそれを摂取できる、言い換えれば、標準動作確定の無理を吸収できる、そういう土壌として、職掌の考え方が既に存在していたことに注意しておいてよいだろう。

ここまでの議論で明らかなことは、私は日本の歴史的事実を紹介しているが、別に日本固有のロジックによって説明していないという点であろう。たとえば、定額給(時間給)と出来高給などはすべて外国でも説明可能なのである。

意外と長くなりそうなので、次回に続く。
・・・すみません。
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