ちなみに、ここまで詳しく書いてしまったので、付け加えておくと、いわゆる属人給は、おそらく氏原正治郎以来、賃格という言葉で表現されることがあった。賃格は身分よりもさらに細かい概念で、一つの身分の中に複数の賃金レート(賃率)があるようなときの、その一つ一つの賃金をいう。これは現代風の言葉で言えば、範囲給である。

こうした賃金制度の言葉を勉強したい人は、小池先生の『日本産業社会における「神話」』日本経済新聞社、第3章を何度も読み返すといい。アメリカのホワイトカラー賃金に関する実証研究も丁寧に紹介されているし、数多くの事例を使いながら、説明している内容は実は繰り返しになっているので、一つの事例からだけでは理解しにくい人でも、いくつかを比較しながら読むと多少、理解しやすいかもしれない。ただ、賃金の問題は意外と最初の頃は難しくて、参入障壁の高い分野だと思う。

ちなみに、ブルーカラーについては、戦前の大矢三郎の『請取賃金制度論』と大西清治・瀧本忠男『賃金制度』が名著だ。間違っても古林喜楽や増地庸治郎の賃金論を読んで失望しないように。なお、増地先生の代表作はあくまで『株式會社:株式會社の本質に關する經營經濟的研究』なので、『賃銀論』で判断しないで欲しい。賃金形態論はどちらかというと、経済学より経営学の方が得意だから、経営学との関連から勉強しようと考えること自体は間違っていない。この場合、管理会計との関係を知っておいた方がよい。ただし、この場合、意味があるのはほぼブルーカラーの賃金との関係においてである。

賃金についてはまず、理論的なレベルで理解できることが大事だと私は考えている。
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