今、大内経雄先生の『職場の管理と組織』という本を読んでいる。大内先生ご自身にとっての歴史認識は今から見ると怪しいところが多いが、大内先生が語っている現実については歴史的価値が高いと思われる。

大内先生の仕事は戦時中からの職場訓練、職場監督をどのようにするかということであった。そのエッセンスはフォアマン制度ということになるだろう。で、大内先生といえば、今でも『フォアマン制度の研究』の著者として有名なのだが、こちらの本もとてもいいと思う。1950年代にアメリカの経営手法やイギリスのTWIを輸入しようとした経緯や当時の人たちがどのような問題意識を持っていたのかを知るには最適だし、政府がどのような試みをやっていたのかもよく分かる。

また、この本には民間の事例として八幡製鉄、日本鋼管、石川島播磨、日本パルプ工業、日軽アルミの現場改革が当事者たちの手による説明が付録にあり、本文中では大内先生がそれに対して批判を加えている。批判を加えているといっても、攻撃ではなく、問題点を浮き彫りにして、よりよくするための論点を提示しているという感じだ。

この当時の人たちには日本ペシミズム論が浸透していて、少し前の流行り言葉であったら、自虐史観とでもいうのだろうか、そういう歴史観の人が多い。ただし、こうした歴史観を持つ人にも二通りあり、簡単に言うと、非常に苦しい歴史を踏まえて段々よくなってきたんだから、これからもっとよくしていきたいと考えるため、不必要に辛口になっているタイプである。大内先生は若干、その傾向があって、褒めるのが1段落くらいだったら、限界を語るのに数ページという割合かな。もう一方?それは日本資本主義が没落していくと思っていた人たち(笑)。

今、改めて読むべき古典だとつくづく感じた。それにしても、神田の古本まつりでこれを300円で手に入れたのはラッキーだった。きっと誰も見向きもしないんだろうな。論点についてはそのうち、整理したら書くかもしれません。
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